【妊婦さんの必要知識!】母乳育児の基礎知識
こんにちは。
皆さんは、産後、母乳で育てたいとか強い希望はありますか?
母乳育児を積極的に推奨している産院も多いですよね。私の通院中の産院でも強く推しているようです。
少し予習をしておきましょう。
食育のはじまり!母乳育児
食育とは生きる上での基本であり、母乳育児は食育の第一歩です。母乳は赤ちゃんに必要な成分を多く含み、赤ちゃんの成長に合わせてその成分も変化していきます。お母さんが食べた物や体調によって母乳の味やにおいは微妙に変化し、そのような体験もまた、赤ちゃんの将来の食べる意欲や食べる力を育て、健全な食生活を営む力を育みます。
母乳育児はどうしておすすめなの?
赤ちゃんへのメリット
- 免疫力・抵抗力が強くなる
- アレルギー・下痢・湿疹の予防
- 将来の生活習慣病を減らす
- 小児がんのリスクを下げる
- 知能や神経の発達を高める
- 乳幼児突然死症候群のリスクを下げる
- スキンシップで安心感を
- 腸の働きを良くするビフィズス菌が増える
- 胃や腎臓への負担が少なく消化吸収が良い
- 生後3〜4日で出てくる生理的黄疸の悪化を防ぐ
- 顎や筋肉の発達をよくし、健康な歯を育てる
お母さんへのメリット
- 出産後の子宮の回復を助ける
- 出産前の体重に早く戻る
- 閉経前乳がん・卵巣がん・子宮体がんのリスクを下げる
- 関節リウマチのリスクを下げる
- 生活習慣病にかかりにくくなる
- 赤ちゃんとの大切なスキンシップの機会
母乳の出る仕組み
妊娠初期からホルモンの働きで乳腺が発達しますが、妊娠中は胎盤からの母乳分泌を抑えるホルモンの働きで母乳は分泌しません(妊娠中期以降ににじみでる人もいます)。分娩後2日程度は少量で、徐々におっぱいが分泌されます。
妊娠中から乳房・乳首の手入れを
妊娠すると乳腺の発達により乳房が大きくなります。産後すぐに母乳が沢山出るとは限らず、また、乳首は傷つきやすいですから皮膚を鍛え、吸いやすい形にしておく必要があります。胎動を感じ始めた頃(20週頃)から乳房や乳首のケアが必要です。ケア中に下腹部に痛みや張りがあるとき、切迫早産のリスクが高い場合は中止が必要なので、主治医と相談し進めましょう。
ケアの方法
乳腺の発達を助ける為に下着は圧迫しないものを選びましょう。妊娠・授乳用のものを選び、家ではノーブラでもok。
乳汁分泌が始まるとそこに汚れが付いてつまることがあるので、入浴時に乳房や乳首を石鹸で洗い清潔にする。乳頭部や乳輪部が硬いと赤ちゃんがおっぱいをすいづらい・おっぱいが傷つきやすいなどのトラブルが起こりやすくなるので、妊娠34週を過ぎたら(お腹が張りやすい人は36週から)乳頭の手入れをしましょう。お産が近づくと乳頭・乳輪部は特にデリケートな状態になるので爪は短く切り、傷つけないように注意しましょう。
入浴後は乳首にコールドクリームやオリーブオイルなどを塗り、軽くマッサージしておきます。乳頭部にアカがたまっているような時は、オリーブオイルを脱脂綿にひたして10分程湿布し、除去、石鹸で洗います。
乳首の長さは約1cm以上必要です。平らだったり凹んでいる場合は、妊娠末期に入ったら乳首を清潔な指でつまみ出しておきましょう。
乳首のマッサージ方法
1日3回くらい行いましょう。
- 親指・人差し指・中指で乳首を軽くつまみ出す。
- 乳首と乳輪部を、位置を変えながらゆっくり、軽く押していく。
- 乳輪部をつまみ、縦横へもみながらずらす。
- 指腹を使って輪を描くように乳輪部をマッサージする。
出産後の授乳
出産後1週間くらいすると、母乳の分泌量も増えてきます。はじめのうち(生後1〜2ヶ月)は昼夜区別無く、一度に飲める量も少ないので赤ちゃんが欲しがる時にほしがるだけ吸わせてあげましょう。そうすることで赤ちゃんの吸い方が上手くなり、おっぱいも良く出るようになります。母乳の出が安定するまで2週間〜1ヶ月歩ほどかかることもあります。母乳の分泌が良くなり、赤ちゃんの飲む量も増えてくると1〜3ヶ月で授乳リズムができます。
授乳の手順
①石鹸と流水でおむつ替え前・後に手を洗う。
②おむつを替える。
③乳頭を赤ちゃんの舌の上にのせるようにし、乳輪部まで深くくわえさせる。
※吸われている感じがしない・「チュッチュッ」と音がしたら、きちんとくわえられていないのでもう一度やり直す。
④授乳を終える。
※赤ちゃんが乳房を離すまで授乳し、その後反対側の乳房からも授乳します。片側を空近くまで授乳すると、カロリーが高く脂溶性のビタミンを含む後乳まで飲み干す事ができます。
⑤ゲップをさせる。
※赤ちゃんの顔がしっかり肩にのるくらいまでに抱いて、お母さんが椅子の背もたれに寄りかかると安定します。
⑥足りない時はしぼったお乳を飲ませる。
⑦おむつを替える。
⑧手洗いをして記録する。
※手で乳首をマッサージし、乳首を軟らかくしてからの方が赤ちゃんは飲みやすい。
※飲み残しは、しぼって出してしまいましょう。
赤ちゃんがおっぱいを欲しがっている早めのサイン
・身体をもぞもぞと動かす
・手や足を握りしめる
・手を口や顔にもってくる
・探索反射を示す
・おっぱいを吸うように口を動かす
・舌を出す
・クーとかハーとかいうような柔らかい声を出す
・きょろきょろと周りを見回している
・手や袖を吸っている
抱き方
様々な抱き方がありますが、共通する事としては、
・赤ちゃんとお母さんのお腹がぴったり向き合っている
・赤ちゃんの頭の後ろと背中・おしりが一直線に支えられている。
・赤ちゃんの身体は乳房の方を向いていて、ねじれたり曲がったりしていない。
・お母さんがリラックスしていて快適である。
・赤ちゃんが静かに覚醒していて泣いてない。
・赤ちゃんが乳房の高さで抱かれている。赤ちゃんの体重はお母さんの腕と胸で支え、膝では支えない(クッションに乗せるのではない)。
・お母さんが赤ちゃんに向かうのではなく、お母さんが赤ちゃんを引き寄せる。
①横抱き(一般的な抱き方)
お母さんは座り、赤ちゃんを横抱きにする。
背中にクッションを置き、リラックスした姿勢で。赤ちゃんの頭はお母さんの肘のあたりとなり、殿部は手のひらで支えます。赤ちゃんをお母さんの乳房の高さで抱き、飲ませる側の乳房と同じ側の腕で赤ちゃんの頭と身体を支えます。
※赤ちゃんの体重はお母さんの腕と胸で支え、赤ちゃんを胸の方へ引き寄せて抱きます。
②交差横抱き(授乳に慣れていない時期や吸着が上手くいかない時期に)
背中と膝にクッションやバスタオルを置きリラックス。飲ませる乳房と反対の手で赤ちゃんの頭と首の体を背中側から支えます。あいている方の手で乳房を支えます。親指と人差し指でU字を作り、乳房を下から挟むようにする方法もあります。
③添い乳(お母さんも休息をとりながら授乳できる)
お母さんは横向きに、赤ちゃんはお母さんの方を向いて横になっています。枕やクッションで赤ちゃんを支えると楽です。お母さんの乳頭と赤ちゃんの口を同じ高さにします。お母さんの方に赤ちゃんの身体全体が向くようにすると、横になったままでも深く吸着が出来ます。
④脇抱き(帝王切開でお腹に傷がある、赤ちゃんが深く吸う事が難しい時に)
手のひらで赤ちゃんの頭と首と背中を支えます。空いている方の手で乳房を支えると深く吸着しやすいです。
⑤縦抱き(深い吸着が難しい場合ややや小さめの赤ちゃんに。)
お母さんは座って、赤ちゃんは膝に座らせたような姿勢で頭と肩で支えます。身体を横にして授乳出来るので帝王切開後の授乳や夜間の授乳時・出産直後やお母さんの体調が悪い時に適しています。乳頭と赤ちゃんの口の高さが合うよう、赤ちゃんのおしりの下に枕を使用したり、お母さんが足台を使用するなどして高さを調整します。赤ちゃんが前かがみにならないように背中をしっかり支えます。赤ちゃんの下顎が少し上向きになるくらいが良いです。
赤ちゃんがおっぱいを飲みとっているサイン
授乳中、下顎はずっと乳房に触れているが、鼻先は離れていてもよい。
赤ちゃんの口は大きく開いており(約140度)、唇は朝顔の花びらのように外側に開いている。赤ちゃんの舌は乳房の舌側を包み込んでいる。※角度には個人差もあり、新生児では乳房に埋もれて見えないこともある。
お母さんが快適である(痛くない)。
赤ちゃんがおっぱいを上手く飲み取れていないサイン
赤ちゃんの口が大きく開かない。
下口唇が前に突き出したり、内側に巻き込まれている。
下顎が乳房から離れている。
早くて浅く、音を立てて吸ったり、舌打ちするような音が聞こえたりする。
頬が引き込まれる(エクボができる)。
乳房を含ませようとしても赤ちゃんがイライラし、吸い付いたかと思えばすぐ放す。
非常に頻繁に飲んだり、一回の授乳時間がとても長かったりして自分から乳房を放さず、満足していないように見える。
お母さんが痛みを感じる。
バランスの良い食事を
母乳の原料はママの血液なので、バランスの良い食事を心がけ、水分をたっぷりとりましょう。授乳中は禁酒・禁煙です。
カルシウム・鉄分・たんぱく質を積極的に摂りましょう。
高カロリーの食品・砂糖の多い食品・添加物の多い食品・油物・外食・インスタント食品は摂り過ぎに注意しましょう。
からだを休めながら
肉体的な疲労や精神的なストレスも母乳の出に影響します。
げっぷ
母乳を飲ませた後は、赤ちゃんの身体をまっすぐ立てて、少し肩によりかかせるように抱いて、背中を軽くさすり、飲み込んだ空気を吐かせます。
お乳を吐くとき
赤ちゃんの胃の形は、立てたとっくりのような形で、入り口のしまりも良くない為、横になったりするとすぐに溢れてお乳を吐く事があります(溢乳)。吐いた後、機嫌が良くまたお腹を空かせて元気に泣くようなら心配ありませんが、飲むたびに勢いよく吐く・吐き方が日に日に激しくなる・体重が増えないという時は、受診しましょう。
素敵なマタニティライフを。